ここでは蒸留酒とはどんなお酒か、蒸留酒の特徴や主な種類について簡単に解説します。
ほかのお酒については「お酒の種類とは?醸造酒、蒸留酒、混成酒の特徴について簡単解説」をどうぞ!
蒸留酒の特徴
蒸留酒はアルコール発酵させた後、さらに蒸留、濃縮したお酒です。ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等が蒸留酒に分類されます。
イメージとしては醸造酒に蒸留の製造工程を加えたものになります。例えばウイスキーとビールは基本となる原料は大麦でほとんど同じです。しかしビールの製造に「蒸留」と「熟成」という工程を加えることでウイスキーという全く別のお酒に変わります。
蒸留酒の特徴①度数が高い
アルコールを蒸留する特性上、醸造酒よりもアルコール度数は高く25~40%が一般的です。最も度数が高いものだと96%にもなります。世界で最もアルコール度数が高いことで有名な「スピリタス」も蒸留酒(の一つであるウォッカ)に分類されます。
蒸留酒の特徴②そのまま飲んでも割って飲んでも良し
そのまま飲んで楽しめるものもありますが、そのまま飲むのがきついものでも、水やジュースを混ぜることで飲みやすくなります。自分好みに味を調整しやすいのも蒸留酒の魅力です。
蒸留酒の特徴③保存が利く
また、醸造酒と比べて保存が利きます。温度や直射日光には気を付ける必要がありますが、適切に管理をすれば数十年単位で保存できるとされています。
主な蒸留酒の種類
主な蒸留酒の種類として、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎が挙げられます。
ウイスキー
ウイスキーは大麦、ライ麦、トウモロコシ等の穀類を原料としたものを発酵・蒸留させ、樽で熟成させた蒸留酒です。
最大の特徴は樽に長期間保管することで、樽由来の芳ばしさと美しい琥珀色をつける点です。どんな樽を使い、どのような環境でどれぐらいの期間保管するかによって香りや味わいが大きく変わります。
そのため、味や香りは千差万別で、甘く芳醇で口当たりの良いものもあれば、正露丸のようなキツイ香りと味わいのウイスキーまで様々です。
また、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本のウイスキーは、世界5大ウイスキーと言われています。
ウイスキーについてはこちらの記事をどうぞ。
ブランデー
ブランデーはブドウ、洋ナシ、リンゴ等の果実を原料としてものを発酵・蒸留させた蒸留酒です。
原料である果物由来の甘いフルーティーな香りとほんのり甘い味わいが特徴です。
ブランデーの種類である「コニャック」や「アルマニャック」、「カルヴァドス」の場合、蒸留後にウイスキーのように樽で熟成させます。
ウォッカ
ウォッカは穀類や果物を原料としたものを発酵・蒸留、ろ過させた蒸留酒です。世界4大スピリッツのひとつです。
ウォッカの最大の特徴は、蒸留後「ろ過」をする点です。これにより味わいは無味無臭に近くなるため、色々なものと混ぜやすく、カクテルの素材に重宝されます。また、ろ過することで不純物が取り除かれるため、消毒液の代用品としても価値があります。コロナウイルス対策でアルコール除菌液が足りなくなった際、ウォッカを活用した方も多いのではないでしょうか。
ウイスキーやウォッカとは違い、原料は様々です。珍しいものだと牛乳や二酸化炭素を原料にしたものもあります。
ウォッカについて詳しく知りたい方は「ウォッカとはどんなお酒?簡単解説」をどうぞ!
ラム
ラムはサトウキビを原料としたものを発酵・蒸留させた蒸留酒です。世界4大スピリッツのひとつです。
カリブの海賊が飲んでいるイメージ通り、西インド諸島が発祥の地とされているお酒です。サトウキビ由来の甘い香りが特徴でお菓子作りの香りづけにも使用されます。
ラム酒は風味の違いから「ライトラム」「ミディアムラム」「ヘビーラム」、色の違いから「ホワイトラム」「ゴールドラム」「ダークラム」に分類されます。種類によっては樽で熟成させたり、活性炭でろ過したり等、製造方法はそれぞれ異なります。
テキーラ
テキーラは竜舌蘭(リュウゼツラン)という植物を原料としてものを発酵・蒸留させた蒸留酒です。世界4大スピリッツのひとつです。
メキシコのお酒ということで、サボテンが原料と誤解されがちですが、竜舌蘭はサボテンではないのでサボテンから作ったお酒というのは誤りです。
樽による熟成を全くしないものもあれば、3年以上熟成させたものもあり、長期間熟成させたものは樽の香りが付くため、ウイスキーに似た風味となります。
ジン
ジンは大麦、ライ麦、トウモロコシ等の穀類を原料としたものを発酵・蒸留させ、薬草などの草根木皮の香味成分を加えた蒸留酒です。世界4大スピリッツのひとつです。
針葉樹の香りのような独特な風味が特徴的で、ストレートで飲むと好き嫌いが分かれるかもしれませんが、カクテルにするとその風味がいいアクセントとなり、とても飲みやすくなります。ジントニックはチェーン居酒屋でも飲めるぐらい親しまれていますね。
ジンの種類によっては薬草の代わりに果物で風味付けしたものもあり、そちらは「フレーバードジン」に分類されます。薬草で風味付けしたものは「ドライジン」に分類されますが、一般的に「ジン」と言えば「ドライジン」を指します。
焼酎
焼酎は米や芋、麦や糖蜜などを原料としたものを発酵・蒸留させた蒸留酒です。日本固有の蒸留酒です。
原料による違いから「芋焼酎」「米焼酎」等に分類されるほか、製造方法の違いから「甲類焼酎」「乙類焼酎」に分類されます。「甲類」は複数回蒸留するため、原料の風味が薄く、癖のない味に仕上がっています。「乙類」は1回だけ蒸留するため、原料の旨味が残っており、高級なものが多いです。
沖縄のお酒で有名な「泡盛」もこちらに分類されますが、製造過程に「黒麹菌」という泡盛独自の材料を使うことから、焼酎の一種というよりは「泡盛」としてブランドを確立しています。
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