日本ではカクテルの原料としては馴染み深いウォッカですが、ウォッカそのものはあまり知られていません。
ここではウォッカの歴史・起源について簡単にご紹介します。
忙しい人用まとめ
- ウォッカは12世紀頃の東欧でワインの代わりに小麦でお酒を造ったのが始まり
- 当初は飲み物よりも薬として使用されていた
- 技術の進歩によりフレーバーウォッカが登場、これにより世界中で人気のお酒に
- ロシアとポーランドとのウォッカ起源論争はいまだに続いている
ワインの代わりとして作られたのがウォッカの起源
ウォッカが生まれたのは12世紀頃のロシア又はポーランド等の東欧で生まれたとされており、厳密な時期や場所は不明確です。
しかし、寒い地域で生まれたということは確かです。何故なら、寒い地ではワインの原料になるブドウが栽培できず、ブドウの代わりに安価な小麦からお酒を造ろうとしたのがウォッカの起源とされているからです。
当初はお酒ではなく薬として広まった
最初にウォッカを蒸留した人は、ロシア又はポーランドの修道士とされています。
当時は霊薬(エリクサー)とされており、鎮痛剤や麻酔剤、殺菌剤などの目的で使用されていました。その頃の名残がまだあるようで、ロシアには「風邪をひいたらウォッカを飲む」という民間療法があるそうです。
ソヴィエト時代には、ウォッカはしばしば万能薬として提供された。背の高いグラスにブラックペッパー小さじ2杯を入れたウォッカを飲めば、風邪に効くと広く信じられていた。
出典:パトリシア・ハーリヒー,2019年,「ウォッカの歴史」,原書房,p26
出典:http://www.aeonworldfesta.com/report_cold_prevention_2/
ロシアには数多くの民間療法がありますが、中でも「ウォッカを飲めば風邪が治る」という説が根強く信じられています。代表的なものがウォッカ+トウガラシ。グラス1杯のウォッカとトウガラシを1本用意します。トウガラシを口に入れ2〜3度噛み、それをウォッカで流し込みます。他にも、紅茶にウォッカとハチミツを混ぜて寝る前に飲むのも効果的だとか。またウォッカ100mlに生卵と砂糖大さじ1を混ぜて飲むと、風邪や呼吸器疾患だけでなく、不眠や頭痛の解消にも効くようです。
「風邪にウォッカなんて体に悪そう」と思いますが、日本にも風邪をひいたときに卵酒を飲む習慣に似ていますね。
フレーバーウォッカが作られ人気の飲み物へ
このように主に薬として使用されていたウォッカですが、15世紀頃から変化が訪れます。ハチミツや果物、スパイス等を漬け込んだフレーバーウォッカの登場です。
それまでのウォッカは、技術が足りないため、現在のウォッカのように無味無臭とはいかず、不快なにおいや味があり、おいしくなかったそうです。しかし蒸留技術が発展して無味無臭に近づけることができ、さらにフレーバーウォッカが発明されたことで、不快な味や臭いを消すことができました。
これにより、ウォッカは人気の飲み物になりました。当初は北の地方だけで飲まれていましたが、やがて世界中に広まっていきます。
・原材料は穀物・果物なんでもOK
・保存が利く
・好きな香りや味を付けられる
とくれば、流行らない理由はないでしょう。
どっちが起源?ロシアとポーランド
ロシアとポーランドはそれぞれ「ウォッカの起源は我が国だ」と主張しています。
ロシア側の主張
「ウォッカ(ロシア語でВодка)はロシア語で水を意味するヴァダー(voda)から来ている」
ポーランド側の主張
「ウォッカ(ポーランド語でwodka)はポーランド語で水を意味するヴォーダ(woda)から来ている」
どちらも水→ウォッカというのは、流石お酒好きな国って感じですね。
なお、1980年代に行われたウォッカ起源論争は、国際裁判上ではロシアが勝利していますが、ポーランドの歴史家は起源を主張しています。
この他にも、ポーランド産のウォッカ「ソビエスキ」の広告では「妄想に取りつかれた者へ告げる。ウォッカはポーランド生まれだ。ごめんねロシア」と主張していたり(下画像)、まだまだ論争は続いているようです。
決着がつく日はまだまだ遠いようです。
まとめ
- ウォッカは12世紀頃の東欧でワインの代わりに小麦でお酒を造ったのが始まり
- 当初は飲み物よりも薬として使用されていた
- 技術の進歩によりフレーバーウォッカが登場、これにより世界中で人気のお酒に
- ロシアとポーランドとのウォッカ起源論争はいまだに続いている
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