ポーランド産のウォッカ「ズブロッカ」。最大の特徴は瓶の中に草が入っていることでしょう。
ズブロッカの中の草は「バイソングラス」というものなのですが、一体なんのために入れているのでしょう?ここではズブロッカの中の草について簡単にご紹介します。
ズブロッカの中の草は「バイソングラス」

ズブロッカの中に入っている草の名称は「バイソングラス」といいます。その名の通り、バイソンが好んで食べる草であるため、そのように呼ばれています。バイソンはズブロッカのシンボルマークでもありますね。
「バイソングラス」は栽培が困難で、ヨーロッパ唯一の原生林「ビャウォヴィエジャの森」の限られたエリアのみに自生している貴重な植物です。
その希少価値から、「バイソングラス」を使用したお酒の製造は、ズブロッカの製造メーカーである「ポルモス・ビアリストック社」が唯一認められています。
ズブロッカの中の草は何のために入れているの?
ズブロッカに「バイソングラス」を入れる理由は、香りづけのためです。
当時のウォッカは蒸留技術が不十分で、雑味が多くクセの強い香りが残っていたため、その風味を隠すためにハーブや果物で香りづけをしました。ズブロッカの「バイソングラス」も同様です。
「バイソングラス」を漬け込むことで、桜餅のような甘い香りとまろやかな口当たりが楽しめるわけですね。
ズブロッカの中の草には媚薬効果も?
もっとも人気の高いもののひとつが、ズブロッカだ。これは昔の飲料から派生したバクズ・バイソン・ウォッカである。バイソンは雄牛と同じく力強さの象徴で、この黄色味を帯びた飲み物で男性の性的能力が高まると力説する者もいる。
出典:パトリシア・ハーリヒー,2019年,「ウォッカの歴史」,原書房,p53
力強いバイソンが好んで食べる草だから、人間にも効果がある…ということでしょうか?
あるいは「バイソングラス」には「クマリン」という物質が含まれており、この「クマリン」には抗凝血作用(血液がサラサラになる作用)があるため、血の巡りが良くなり性的能力が高まる…ということかもしれません。
いずれにせよ、話半分で聞いておいたほうがいいでしょう。
ズブロッカの中の草が原因でアメリカでは輸入禁止!
実は、アメリカ合衆国ではオリジナルのズブロッカの輸入を禁止しています。その原因はズブロッカの中の草である「バイソングラス」です。
先ほどもありましたが、この「バイソングラス」に含まれている「クマリン」には抗凝血作用があり、アメリカでは食用品として扱うことができないためです。
そのため、ズブロッカのメーカー「ポルモス・ビアリストック社」は、アメリカへの輸出のために、「バイソングラス」を使わないズブロッカを新たに製造しました。ライ麦やハーブ、その他調味料により、可能な限り近い風味を実現しているそうです。
この”偽物”のズブロッカには、「バイソングラス」を瓶の中に入れる代わりに瓶の外に「バイソングラス」を付けています。本物が飲める日本では未発売ですが、一度ぐらい飲み比べてみたいものです。
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