ジンとはどんなお酒?簡単解説

「ジンってどんなお酒?」

「他のお酒と何が違うの?」

という方におすすめの記事です。ジンについて簡単にご紹介します。

目次

ジンとは?

 ジンは大麦、ライ麦、トウモロコシ等の穀類を原料としたものを発酵・蒸留させ、薬草などの草根木皮(ボタニカル)の香味成分を加えた蒸留酒です。世界4大スピリッツのひとつです。

 香味成分であるボタニカルは、杜松の実(ジュニパーベリー)が必須ということ以外自由であるため、他の4大スピリッツに比べ個性が強く、様々な香りや風味を持ちます。

ジンの種類は?

 ここでは代表的なジンの種類をご紹介します。

ドライ・ジン

 ジンの代表格といえるのが「ドライ・ジン」です。一般的にジンといえば「ドライ・ジン」を指します。

 連続式蒸留機で蒸留する純度の高いスピリッツを使用しており、ジュニパーベリーや柑橘系の爽やかな香りとクセの少ないクリアな味わいが特徴です。そのため、カクテルのベースとして重宝されています。

 別名に「ロンドン・ドライ・ジン」と呼ばれるように、イギリスのロンドンが主な生産地ですが、ロンドンが産地でなくても表記ができ、世界各地で製造されています。

ジュネヴァ・ジン

 ドライ・ジンの次に主流なのは、オランダが主産地の「ジュネバァ・ジン」です。

 単式蒸留器で蒸留するため、連続式蒸留機で蒸留するドライ・ジンに比べ香りや味わいが残りやすく、ストレートで飲まれることが多いです。

 「ジュネヴァ・ジン」はドライ・ジンと異なり、産地がオランダやベルギー等の認められた地域でなくては表記できません。

シュタインヘーガー

 「シュタインヘーガー」とは、ドイツが主産地のジンです。

 ドライ・ジンやジュネヴァ・ジンは、乾燥させたジュニパーベリーを使用しているのに対し、こちらは生のジュニパーベリーを発酵させて蒸留する点が特徴です。

 ドライジンよりも香味が穏やかで、ドライ・ジンほどスッキリしすぎず、ジュネヴァ・ジンほど濃厚すぎない、それぞれの中間に位置するようなジンと言われています。

オールド・トム・ジン

 「オールド・トム・ジン」は蒸留酒に雑味が多かった時代に生まれた甘口のジンで、砂糖を添加して飲みやすくしたのが発祥とされています。現在は、ドライ・ジンに糖分を1~2%加えて製造します。

 ほどよく甘く飲みやすいのが特徴で、甘いカクテルと相性が良いです。トム・コリンズというカクテルは、元々「オールド・トム・ジン」をベースに作るものなのですが、「オールド・トム・ジン」が主流でない現在は、「ドライ・ジン」で作られるのが一般的なようです。

オールド・トム・ジンの語源は猫の自販機

 18世紀、猫の口にコインを入れると、その足から甘いジンが出てくるという販売機が大人気となり、オス猫を「トム・キャット」と呼ぶことから、甘口のジンをオールド・トム・ジンと呼ぶようになったそうです。

 その由来故に、オールド・トム・ジンのラベルには、猫が描かれていることが多いようです。

 ちなみにこちらがその自販機の画像。ちょっと雰囲気ありますね。

出典:稲富博士のスコッチノート 第82章 ロンドン・ジン-1歴史 [Ballantine’s] (ballantines.ne.jp)

クラフトジンとは?

 最近何かと目にする「クラフト・ジン」。他のジンと何が違うのでしょうか。

 「クラフト・ジン」について、SUNTORYでは以下のように回答しています。

「クラフトジン」に明確な定義はありませんが、サントリーにおいては「クラフトジン」とは主に、作り手により、原料・製法・産地などに強いこだわりをもってつくられるジンのことです。

出典:「クラフトジン」とはなんですか? サントリーお客様センター (suntory.co.jp)

 う~ん、一般的なジンも強いこだわりをもって造っているでしょうから、ピンときませんね。

 他にもネットで検索してみると「今までのジンとは風味が違う個性的なジン」、「小規模な蒸留所が作る独特な風味を加えたジン」等がありました。

 クラフトジンを表記している銘柄を見ると、独特の製法や風味を強調しているものがほとんどなので、 「今までのジンとは風味が違う個性的なジン」 が個人的に一番しっくりきました。

ジンの歴史は?

17世紀:ジンの起源は熱病の特効薬

 ジンの起源として有力な説は、1660年頃、オランダのライデン大学医学部教授であるシルビウスが、熱病の特効薬として当時利尿効果があるといわれていたジュニパーベリーをアルコールに浸して蒸留し、利尿剤を造ったことがジンの始まりと言われています。

 この利尿剤を「ジュニエーヴル」と名付けて薬局で売り出したところ、爽やかな香りと値段の安さから人気を獲得。オランダ語で「イエネーフェル」と訳され、オランダの国民酒として愛飲されるようになりました。

17~18世紀:オランダから迎えられたイギリス国王によりイギリスで大人気に

 1689年、オランダから迎えられてイギリス国王となったウィリアムⅢ世により、イギリスで「イエネーフェル」が普及しました。18世紀には、オランダを超える量を生産するほど、人気を獲得しました。それに伴い、名前も「ジン」と短縮されて呼ばれるようになりました。

 当時のジンは蒸留技術が荒く、雑味の多いものが多かったため、砂糖などを加えて飲みやすくしていました。これにより「オールド・トム・ジン」が生まれます。18世紀当時のイギリスは「ジンの時代」と言われるほど親しまれましたが、一方で粗悪なジンによる健康被害や「酔っ払い」等が社会問題になりました。

19世紀:連続式蒸留機により「ドライ・ジン」が登場

 19世紀、連続式蒸留機により、純度の高い蒸留酒が造れるようになりました。これにより雑味の少ないライトな風味を持つジン「ドライ・ジン」が生まれました。

 これまでの単式蒸留器で造られたジン「ジュネヴァ・ジン」と区別するために、主な生産地であるロンドンの名を冠して、「ロンドン・ドライ・ジン」又は「ブリティッシュ・ジン」と呼ばれるようになりました。

20世紀:アメリカでカクテル・ベースとして大人気に

 その後、アメリカまで普及したロンドン・ドライ・ジンは、19世紀末からカクテル・ベースのお酒として大人気となり、ジンは世界的な名酒となります。

 当時のアメリカは、禁酒法の時代で、政府の目をごまかすお酒としてカクテルが重宝されていました。なかでもジン・ベースのカクテルは1920年代、女性たちに飲みやすいお酒として好まれました。

 これらの一連の流れを受けて、ジンの歴史は「オランダ人が生み、イギリス人が洗練し、アメリカ人が栄光を与えた」という言葉で語り継がれています。

参考文献

橋口考司,2003年,「スピリッツ銘酒辞典」,新星出版社

 

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